プロフィール

フジコ・ヘミング
日本人ピアニストの母とスウェーデン人デザイナーの父を両親としてベルリンに生まれる。父と別れ、東京で母の手ひとつで育ち、5歳から母の手ほどきでピアノを始める。東京藝術大学を経て、28歳でドイツへ留学。ベルリン芸術大学を優秀な成績で卒業。その後長年にわたりヨーロッパに在住し、演奏家としてのキャリアを積む中、レナード・バーンスタインほか世界的音楽家からの支持を得るが、大事なリサイタル直前に聴力を失う。失意の中、スウェーデンやドイツ各地に移住し、ピアノ教師をしながら、欧州各地でコンサート活動を続ける。1999年リサイタルとNHKのドキュメント番組が大反響を呼び、CDアルバムはクラシック界異例の大ヒットを記録した。日本ゴールドディスク大賞のクラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤーを4回受賞。2018年、フジコのワールドツアーに密着した映画『フジコ・ヘミングの時間』が異例のロングランヒット。第22回上海国際映画祭で上映のほか、アジア、カナダ、中東、ロシア圏など、海外でも公開された。2021年には自身の選曲によるオールタイム・ベストアルバム「COLORS」(ユニバーサル ミュージック)を発売。自分を信じて努力を続け、あきらめることなく夢を追う姿が多くの人を勇気づける。猫や犬をはじめ動物愛護への関心も深く、長年チャリティー活動を続けていた。2024年4月21日、92歳で旅立つ。
大月ウルフ
東京生まれ。フジコの3歳下の弟。幼い頃からモデルとして活動し、その後は劇団などで俳優として活躍。特撮テレビ番組などの個性的なキャラクターで人気を博す。妻はバレリーナ。陰ながら夫婦で不遇時代のフジコをサポートした。
エヴァ・ゲオルギー・ヘミング
フジコの義妹。スウェーデンの首都ストックホルムから200キロ離れた、冬にはマイナス20度にもなる美しい北欧の地で暮らしている。エヴァはフジコと同じように音楽や動物を愛し、住む家にもこだわっている。
ナレーション:菅野美穂
1993年、TVドラマ「ツインズ教師」で女優デビュー。NHK連続テレビ小説「走らんか!」(95)、連ドラ初主演作「イグアナの娘」(96)で注目を集める。03年、スペシャルドラマ「フジ子・ヘミングの軌跡」でフジコを熱演。高視聴率を獲得し話題となる。以降、数々のドラマ・映画・CMに出演し、人気・実力を兼ねそろえた国民的女優である。
代表作に『Dolls(ドールズ)』(02)、『パーマネント野ばら』(10)、『ジーン・ワルツ』(11)、『奇跡のリンゴ』(13)、2016年TVドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」、『明日の食卓』(21)、2023年TVドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」、『ディア・ファミリー』(24)、『近畿地方のある場所について』(25)など。
コメント
フジコさんの訃報にふれて、他にない喪失感を抱いておりましたが、今回の映画で、永遠に輝きの変わらない音色をおいて行ってくださったのだなあと思いました。また、長くひとつの事に向き合ったからこその含蓄ある、貴重な本音のインタビューにハッとしました。フジコさんのお好きだった猫の様に、誰にでも見せた訳ではないであろう素顔に、この映画では触れられて、魅了されました。
監督・構成:小松莊一良こまつそういちろう
ロサンゼルス生まれ、広島県呉市で育つ。大阪芸術大学 映像学科在学中より自主映画製作で注目され、映画『Heart Breaker』で映画監督としてデビュー。おもに音楽やストリートダンスをモチーフにした作品をテーマとし、ドラマの他にもドキュメンタリー、ミュージックビデオ、ライブ映像など幅広いフィールドで活動を続ける。吉川晃司、藤あや子、安室奈美恵、DA PUMP、ケイティー・ペリーなどの音楽映像を手掛けるほか、2024年、WOWOWで世界配信された、新しい学校のリーダーズの初武道館ライブ『青春襲来』を監督し、第14回衛星放送協会オリジナル番組アワードにてグランプリなど2冠を受賞。2025年、劇場公開されたAdo × 新しい学校のリーダーズ × YOASOBI 『matsuri '25: Japanese Music Experience LOS ANGELES』で総合演出を務める。一方で、世界的人気のピアニスト、フジコ・ヘミングの映像やコンサートの演出も長年手掛け、企画・監督したドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』(2018年)が感動を呼び異例のロングランヒットとなった。母校・大阪芸術大学 映像学科では客員教授も務める。
コメント
フジコさんはクラシックの事を知らなくても人々の心に届く音楽を奏でたアーティストです。そんなフジコさんのナチュラルな姿を撮りたかったので1日カメラをまわしっぱなしで置いておいたことも。パリの自宅では食事をしながら恋愛話を、故郷のベルリンでは人生に苦労した話など。旅先で僕たちはたくさん話をしました。今回映画の中で初公開する日記を、菅野美穂さんに情感豊かに読んでいただき、フジコさんの当時の心情がより伝わってきました。「演奏にはその人の心が現れるのよ」、毎日を清らかに生きようとし、いつも弱き人や小さな命にも心をかたむけたフジコさん。自分の音楽が救いになればと願っていた人でした。